【小泉 亜矢子】
『……ダメ……ダメよ亜矢子、こんな所で感じたら、絶対にダメ……』
【小泉 亜矢子】
『ここでイッたら、人生終わりよ』
 脂汗を垂らしながら必死でこらえている会長の、心の声が手に取るように分かる。
 彼女は今、コレまで築き上げてきた輝かしいキャリアと、それをなげうってでも飛び込んでいきたい快感の大波との狭間で、必死に耐えている所だ。
 だが、そんな必死の努力でさえ、ボクの暗示によって、自分の恥ずかしい姿を人に知られてしまうかもしれないという、露出的な緊張と興奮に置き換えられてしまうことを彼女はしらない。
【小泉 亜矢子】
『ぁっぁっぁっ……なんで……?』
【小泉 亜矢子】
『オナニーしていることを、誰かに知られちゃうかもって考えただけで……』
【小泉 亜矢子】
『何で急に躰が……んんんー!』
 びくっ、びくびくっ。
 胸に張りつけたローターの振動と、膣の奥深くまで挿入されたバイブの動きが、彼女の躰を動かし、自然と嫌らしいくねりとなって現れる。
【男子生徒2】
「お……おい、なんか小泉さんの様子、おかしくね?」
【男子生徒3】
「ああ。さっきから見てるけど、何だか変だな」
【男子生徒3】
「言っちゃあ悪いけど、すっげぇエロい」
【男子生徒2】
「あ、お前もそう思った? 実はオレも。今日の小泉さん、何だか、すっごくエロくて可愛くね?」
【男子生徒3】
「だよな!? 実はオレも今朝からずっとそう思ってて……」
【松戸 葵】
「こらそこっ! 何おしゃべりしてるのっ!」
【松戸 葵】
「罰として、明日までにフリーメイソン憲章を和訳してくるように」
【男子生徒2】
「はっ? フリーメイソン? なにそれ?」
【男子生徒3】
「無理です、先生! そんな300年も前に書かれた秘密結社の会則なんて調べられません」
 葵先生の無茶ぶりに、話をしていた生徒たちが青くなるが後の祭りだ。
 葵先生はやれと言った事は必ずやらせる。
 もしもやらなかった場合は……ま、ボクには関係ないな。
 それよりも今は亜矢子ちゃんだ。
 一時的にみんなの気がそれた事で、ほっとしたのか、顔色も大分平常に戻ってきているようだが、
 甘いね。
 ボクは、手の中に握りしめたコントローラーのつまみを、強の方へ、ぐいっと回した。