まどろみの中で、マリーはもう一つの願いを胸に抱いた。
  マリーとしての存在が消えるのを感じながら、最後の祈りを捧げた。
  神様でも何でもいい。
  舞美を助けてほしい。
  無限の連環から解放して、真の安らぎを与えてやってほしい。
  そして、何よりも願うことは…………。
「奇跡でも何でもいい。ママが解放されて消えちゃったとしても、どうか寂しくありませんように。どうか………………」
  マリーの意識が光に溶けていく。
  幸せな時間は終わり、再び血と殺戮にまみれた人生が始まろうとしている。
  それがわかっていて尚、マリーは祈り続けた。
  舞美の幸せと解放、そして――――



   どうかママが最後の時に、
     一番会いたい人に会えますように……。